健康にまつわる話は昔から数多く残っています。髪の毛に関しては、「おじいちゃんのハゲが孫に遺伝する」などということを耳にした人も多いと思います。言い伝えや風説の中には根拠のない無責任なものもあるため、気にしなくても構いません。しかし、信ぴょう性の高い話も稀にあります。
親世代から子世代へと髪の毛の特徴が遺伝するのでしょうか?気になる話題を集めてみました。
ハゲは隔世遺伝する
先に触れた例がこれです。
お父さんがフサフサでも、おじいちゃんがハゲていたら自分も危ないというものです。この信憑性ですが、今のところは「可能性はある」という程度のものらしいです。でもなぜ毎世代ではなく、わざわざ隔世となっているのでしょうか。
これは、実際には世代ごとに順に引き継がれていたとしても、母親の場合はハゲとしての症状に現れないことから、その上の世代、つまり祖父と比較されてしまうことで隔世遺伝と勘違いされているのでは、というのが理由のようです。
くせ毛は遺伝する
天然パーマなどの「くせ毛」は遺伝するのでしょうか。
これはどうやら「YES」と言って良いようです。両親ともにくせ毛であると、その子供も同じような髪の毛になるケースが明らかに多いです。
正しくは、くせ毛が遺伝するというよりも髪の毛の質が遺伝するといった方がよいでしょうか。その意味ではストレートヘアも遺伝をするのですが、くせ毛の方がストレートヘアよりも遺伝性が高いようで、両親の一方がストレート、もう一方がくせ毛の場合、こどもの髪の毛はくせ毛になることの方が多いようです。
日本人の場合、純粋なストレートヘアというのは意外と少ないそうです。一見ストレートヘアに見えても、ある程度までの長さになると巻き癖が現れたり、カットした毛先だけがクルンとカールしたりすることがあります。ある統計によると、日本人の場合7割程度が何らかのくせ毛体質を持っているのだとか。
白髪は遺伝する
髪の毛が黒いのは、日焼けと同じくメラニン色素の働きによるものです。そのメラニン色素を作るのが色素細胞(メラノサイト)ですが、心因性ストレスなどでその活動が弱められると白髪となります。
その体質が遺伝によって引き継がれるということもあるようです。
白髪を抜くと増える
ついでに「白髪を抜くと増えるからダメ」という話もよく聞きますが、こちらはどうでしょうか。
「白髪を抜くということは髪の毛に注意が向いているからこそできるのである。また、1本の白髪があるということは、すでにほかのところでも白髪が進行していることになる。もともと髪の毛を意識しているときに次の白髪が生えてきたら、当然ながらすぐに目につく」
これが白髪が増えたものとして勘違いされているだけで、実際は順当に進行していっているだけのことという意見です。一方では、「1本の白髪を抜くと、同じ毛穴から生えているほかの毛髪にダメージを与えて白髪化を進めてしまう」という意見もあります。
でも、どちらも基本的には同じことを言っているような気がします。いずれにせよ、まだ根が張っているものを無理矢理引き抜くわけですから、頭皮へのダメージを考えるとそのままにしておくに越したことはなさそうです。
実際のところは?
ここにあげた言い伝えの数々ですが、はっきりと断定的な結論を出せそうにありません。遺伝の影響を考える以前に、ハゲや白髪など、髪の毛に関してのトラブル自体、まだまだ究明の余地があり完全な対処法がないというのが現実だからです。
その証拠に、万人に効く育毛剤など世の中にはありません。いずれも効果には個人差があるのが前提とされています。食事・生活習慣・ストレス等、多くの要因があるため、相互に与える影響も考慮しなくてはならないからです。
髪の毛の遺伝が全てではない
確かに、いろいろな統計では両親の薄毛体質が子にも受け継がれたり、特に母親の方の体質を受け継ぐことが多いようです。とはいうものの、成長の過程で髪の毛の質が変わったということはよくある話です。また、同じような髪の毛の親を持つ子供でも、全員が同じ髪の毛になるわけではありません。
「親を見て子は育つ」という言葉があるように、子供は成長の過程で多かれ少なかれ親の生活習慣を真似ていきます。その中には髪の毛にとって良い習慣、悪い習慣というのがあるでしょう。
遺伝の要因は否定できないものの、同じ生活習慣というものがそれに輪をかけてしまっているということも無視できないことだと思います。つまるところ、遺伝的要因は確かにあるものの、生活習慣などの後天的な要因によって大きく左右されるといえるではないでしょうか。